祖父の愛人の存在について

もう20年も前に亡くなった祖父の愛人のことです。わたしもまだ中学校に通っていたころに知ったことですが、今でも一度しか見たことのない祖父の愛人の姿は目に焼き付いています。
祖父は一人で小さな鉄工所を立ち上げ、さらには農業も頑張り、地元でもかなりの権力者だということ、そしてすばらしい人望を得ていることも子供ながらによくわかりました。農業と鉄工所で鍛えた体で当時60歳前後でもかなりの筋肉質で格好良かったのは間違いありません。
もちろん、そこ祖もお金も持っていたからでしょうか、愛人の存在もありました。後で知ったのですが行きつけのスナックのママで愛人としてお付き合いしていたようです。祖父の近しい方々は知っていましたし、献身的に祖父を支えてきた祖母も知ってたようです。しかし、当時の女性は家庭を壊さないのであれば、甲斐性といういう考え方を本気で持っていたらしく何事もなく構えていました。
そんな状態ですから祖父もあまり気を使うことなく、愛人のところに通っていた模様です。しかし、一度だけわたしがその愛人に会う機会があったのです。
それはある夜の事。私の両親も祖母も不在の時に祖父があまりにも酔っぱらったということで車の運転ができないのでその愛人の女性が運転して送ってきてくれたのです。年齢は40歳前後でしょうか。子供心にも上品できれいな人だなあと思ってしまいました。「おじいちゃんをよろしく」と一言だけ言い残して去っていく様は本当に美しくかっこよくもありました。
祖父がこの愛人の女性に惚れてしまったわけも思春期の私としてはわからないでもないなとちょっと大人になった気分でした。しかし、わたしはこれを境に祖母のような我慢する女性をつくりたくないので浮気などは一切反対派になりました。